本の感想

「なぜ保守化し、感情的な選択をしてしまうのか」感想

今回はこちらの本を紹介したいと思います。 

「なぜ保守化し、感情的な選択をしてしまうのか 人間の心の芯に巣食う虫」  作者/シェルドン・ソロモン ジェフ・グリーン・バーグ  トム・ピジンスキー 大田直子  出版社/インターシフト

恐怖管理理論とは

人間の行動すべてをこの恐怖管理理論で説明できる、と言われていて、今注目の理論です。この恐怖管理理論について、私の言葉で説明してみます。

まず大前提として人を含めたすべての生命の目的は生き続けることであるとしています。生命は生き続けるためには、どんなことでもやります。

ただ一つ、人間が他の生命とちがうところがあり、「生き続けたいという望みが、必ず挫折することを知っている」ということなのです。つまり終わりがくることを知りながら生きている、ただ一つの生命体だということでしょう。

そこで私達人間は、死の恐怖に立ち向かうために、二つの基本的行動を起こします。

  1. 自分の所属する社会に価値があると、信じること
  2. 自分の信じる社会に、立派に貢献すること

人間の行動は、すべて上の二つで説明できるとしているのが恐怖管理理論です。この本は、恐怖管理理論からでた仮説を、たくさんの実験によって検証しながら進めていきます

理論を打ち立ててからたくさんの実験を終えるまで、30年近くかかっており、かなりのボリュームがあります。難しい内容ですが、腑に落ちることが多すぎて、読むのが止まりませんでした。

いじめの正体 なぜ違う文化はぶつかりあうのか

①「自分の所属する社会に価値があると、信じること」について書いていきたいと思います。

なぜこの行動をおこすと、死への恐怖へと立ち向かえるのでしょうか。私達はいつか死ぬわけですが、私達の社会は私達の死後も続くわけです。私達の死後も続く社会の価値観が自分の価値観と同じだったら、、、これは象徴的な不死と同義なわけです。

けれど自分が信じる社会の価値観と、反する存在が現れたらどうなるでしょうか?私達は生存本能により、自分の価値観を揺るがす、自分とは違う価値観の存在を全力で排除するらしいのです。

これはいじめがなくならない原因ではないでしょうか?ほとんどの子どもはいじめがよくないことだと分かっている。だけど自分と違う価値観の存在を見ると、どうしても排除したくなってしまう。本能的にいじめてしまうのではないでしょうか。

私も中学生の時いじめられていました。他県から引っ越してきたことによって、「言葉遣いがおかしい」などと言われていました。もともと変わり者でしたが、文化の違いが原因でいじめにあった、とも言えます。

転校が原因でいじめにあう人も多いので、やはり価値観が違うと排除したくなる本能はあるのだと思います。。でも人間は本能に従うだけの存在ではありません。自分がそういう本能をもっていると自覚すれば、意思の力で違う価値観を認めることはできるはずです

 

自尊心が低いとどうなるか

次に「②自分の信じる社会に、立派に貢献すること」について書いていきます。

そして多くの人々が、ミミズやコウモリが生き続けるために戦うのと同じように、自尊心を守るために闘う。なぜなら、私たち人間にとって、自尊心は死に対する象徴的な盾だからだ。  P82

②の「社会に貢献すること」とはこの自尊心のことだと思います。「自分は誰かの役に立っている」と思えることが、自尊心に繋がるからです。自尊心があるからこそ死の恐怖に立ち向かえるのです。

これは私も実感したことです。

私が、いじめにあった時「自分はこの社会では、役に立たないのだ」と実感しました。私は、まさしく命の危機を感じました。

この危機から、人に好かれたいという欲求が強くなりました。「人に好かれる」=「生きていてもいい」という図式が頭の中に成立したため、人に好かれることに命を懸けるようになってしまいしました。

この図式は頭のなかから、なかなか消えてくれません。死の恐怖に立ち向かうために、本能的にしてしまったことだからでしょう。

人に好かれる以外のことで自尊心を保てるようにすることが、私の課題です。人に好かれなくても、人の役に立てることはきっとあるはずです。

解決策 死とともに生きる

死への恐怖が私達の行動を支配しているのだとしたら、そこから自由になるための解決策はなんでしょうか?著者はいくつか紹介していますが、その一つをご紹介します

それは死すべき運命を受け入れることだそうです。目を背けていると、死ぬことはただの恐怖となり、どんどんふくらんでいきます。死を受け入れるには、死について考え、慣れ親しむことが大切なのだと著者は言います。

死を前向きに捉える為に、本の中でルクレティウスの言葉を引用しています。非常に勇気をもらえたら言葉なので、紹介します。

これからの世代にしても、一生をまっとうすれば、あなたがたのあとに続くことになる。前の世代もあなたがたと同じように消え去ったのであり、これからの世代もまた消え去るのだ。こうして、一つのものから別のものが生まれることはやまない。  P260

私達が死ぬことは意味ないことではない。次の世代に時代を譲るために私達は死ぬ必要がある。少しせつないけど、終わりがあるからこそ人生は美しいのです。死ぬことを前向きに捉えられれば、死への恐怖に行動を支配されることも少なくなるはずです。

まとめ

これを読んで悩み解決!という本ではありません。ただ、自分や他人の行動の理由を深く理解できる一冊です。

なぜ自分はこういう行動をとってしまうのか疑問に思う人、本能ではなく自分の考えで自由に生きたいと願ってる人におすすめします。